日本ハムのドラフトを長く見ていると、担当者が代わっても崩れない原則があることに気づきます。それを3つに言語化します。
原則1:1位は「穴埋め」に使わない
大谷翔平、清宮幸太郎と、世代の象徴的な選手へ迷わず入札してきた歴史が示す通り、この球団の1位はポジション事情から自由です。理屈は明快で、チーム事情は数年で変わるが、世代最高の才能はその年にしか獲れない。競合で外すリスクを取ってでも上振れの最大値を優先します。だから毎年のドラフト予想で「日本ハムの1位」は、チームの穴ではなくその年の最高評価が誰かを考える方が当たります。
原則2:下位は身体能力と伸びしろで買う
万波中正(4位)・田宮裕涼(6位)・北山亘基(8位)が主力になった経緯は共通しています。指名時点の完成度は低いが、身体能力や球の質に非凡なものがある。完成度の順に並べる球団が拾わない選手を、伸びしろの評価で先に取る。当然打率は低く、鳴かず飛ばずで終わる指名も多いのですが、当たったときのリターンが下位指名としては破格になります。
原則3:育成枠は「支配下の予備」ではなく別ルート
育成出身の柳川大晟が守護神に育った例が象徴的です。育成指名を数合わせにせず、支配下と同じ基準で伸びしろを見て、結果が出れば支配下・一軍・勝ちパターンまで最短で引き上げる。この流動性が、若手に「結果を出せば席がある」という説得力を与え、二軍全体の競争を活性化させています。
この思想の弱点
即戦力の計算が立ちにくいことです。高卒素材中心の年は戦力化まで3〜5年かかり、その間の順位は我慢になります。近年は大川慈英のような即戦力リリーフを上位に混ぜてバランスを取っており、思想が現実に譲る部分も出てきました。純粋培養か、即戦力との混合か。毎年の指名構成は、この緊張関係の落としどころとして見ることができます。